官から民へ 2


臨調の審議の中で、官僚が強く抵抗したということがありましたが・・・


しかし、毎年膨らむのが当然視されていた予算についても、57年度はゼロ・シーリング、58年度はマイナス・シーリングで押し切った過程で、官庁や政治家の体を張った反対がほとんどなかったということは、驚くべき変化です。


国鉄、電電の改革案のごときは、いわば従来の"親方日の丸"の機構を解体しようというものですが、これほどのことを平時によくもここまで切り込めたと思います。


この答申が完全に実施されたら、恐らく日本の行政はかなり変わるでしょう。


答申は官僚の手によって、かなり骨抜きされたと言われます。


それを否定はしませんが、しかしいかに立派な理想的な答申であっても、実行されなければ絵に描いた餅にすぎません。


昭和39年、池田内閣のもとでの第一次臨調のあの立派な答申が、すべての官僚から無視されたのは、あまりにも完全すぎたからではなかったでしょうか。


官から民へ


中曽根首相の「ケインズよさようなら、ブリードマンよこんにちは」に代表される民間の活力重視の「小さな政府」への指向です。


そして臨調2年間の審議の結果、従来、行政が過剰に背負ってきた行政サービスを必要最小限にするため・・・


1.民間が行ったほうが効果的、効率的なものは積極的に民間に移譲して


2.なおかつ、行政が担当するものでも、民間の自立・自動精神を重視し、国民参加の行政を展開せよ!


・・・ということを明確にさせた答申の意味は大きいでしょう。


この「官から民へ」という思想に代表される改革案は、基本答申で、公共性の観点から国家の守備範囲としてきた国鉄、電電、専売の3公社を、企業性、効率性を重視して民営・分割を打ち出したことです。


これを実現するには、政府・自民党の不退転の決意と、国民の合意に基づく協力にかかっていますが・・・


少なくとも従来と違うのは、今度の臨調の存在が、行革の必要性を国民に強く印象づけ、国民的な盛り上がりを見せていることです。


人間の本質 4

「20年間はそんな状況で過ごしていました。


私は二重生活を送っていたのです。


充実したプライベートの時間の私は、詩を書いたり、絵画を描いて過ごしていました。


・・・しかしその一方には、家賃を支払い、企業に勤めている私がいたのです。


みんなはこちらが私の唯一の顔だと思っていましたが、そう思い込んでいる人間を私は軽蔑していました。


でも、臆病なために、夢を実現できずにいる自分も好きになれませんでしたね。


家賃を支払うためだけに仕事をしている日頃の自分がいやでたまらなかったのです」


「ホテルに泊まり、前任者が段取りした会議に出席していたときのことです。


ほかの重役連中も自分と同じことを考えていることに気づいたのです。


みんな実際より25歳は老けて見えました。


・・・この連中は自分へのご褒美にチーズケーキを食べたり、毎晩ブランディーを飲んだりしています。」


人間の本質 3

「誰もがどのように生きるべきか疑問を抱いています。


・・・でも、人間は幼いころ、自分の運命を受け入れるように仕向けられているものなのです。


私の場合、小さなころから家計を助けるためにアルバイトをしていました。


父からは、『金持ちの家に生まれてこなければ、毎日他人のために働かなくちゃいけないんだ』と言われたものです。


・・・この父の言葉は、私の頭から一生消え去ることはないでしょう」。


「この言葉を口にされた瞬間、自分は芸術家にはなれないのだと気づきました。


芸術では食べていけないと思ったのです。


それから、家賃をきちんと払える仕事に就くにはどうすればいいかということばかり考えるようになりました。


世の中には、自分が好きなことをして生きていける場所などないのだと思い込んでしまったのです。


私は大きな重荷をしょってこの世の中で生きているような気がしました。


・・・私はどんな不快な状況も受け入れていく覚悟をしたのです」。


人間の本質 2

「未来が間近に迫る現在、映画は新しい人間観を大衆にもっとたくさん示していくようになるでしょう。


実際、何百万という人々が映画を見ることで、現実をつくっているのが自分自身であることを理解すれば、未来は相当変わっていくはずですよ」。


では次に、他の男性のはなしをしましょう。


最初、彼は、文学と詩を題材にして、企業の幹部職員に倫理や創造力について有意義な討論をしてもらう方法について語りました。


・・・そしてそのあと、私は彼とのインタビューを開始したのです。


心理学や精神世界の言葉に不慣れな人にとって、文学を題材にしたテーマで議論するのは、自分の夢や人間のもつ共通の弱点などを探究し、より高い英知を活用できるようにするための第一歩になります。


「さまざまな物語を題材にして、受講者に物語のテーマについてじっくり考えてもらいます。


とりわけ忙しい毎日を送っている人は、自分を反省するのに使える時間はごく限られているものです。


このセミナーを開催している間は、受講者に小説を読んでもらい、その内容についてじっくり考えてもらいます。


誰もに共通のテーマを題材にすることで、セミナーの参加者は刺激を受け、思考力を広く、深くしていくのです」。


人間の本質

「人間に暴力的な面があることは否定しません。


・・・でも、生まれつき下劣な人間などいません。


人間はほかの動物にはない、愛するという独自の才能ももっています。


『フォレスト・ガンプ』は、自分が人間という素晴らしい生き物であることを実感させてくれる映画です。


最高の芸術とは、自分が人間として生まれたことを感謝できるようなものではないでしょうか」


「・・・私たちの主要なテーマは、どのように人間が現実をつくっているのか、それを明らかにすることです。


文化として映画は制作されてきました。


しかし、自分の考え方次第で物事の結果に大きな影響が及んでいくといった点は、あまり反省されることはありませんでした。


現在、起こっている大きな変化とは、現実をつくっていく(建設的な未来をつくる)方法が、意識的に理解されるようになったことです」。

ある男性のはなし

「『ゴースト』、『フォレスト・ガンプ』、『フェノミナン』・・・


これらの映画が、精神世界というジャンルの市場を開拓してくれていました。


だから、以前よりチャンスはずっと広がっています。


もうひとつは、新しい技術を利用すれば、映画が安く仕上げられることです」


「私たちの会社は、『人間は霊的存在である』をスローガンとする唯一の企業です。


あの映画が力強い推進役となり、将来はアクション映画と同じくらいこのジャンルの映画が公開されるようになると思います。


年間10本から15本くらいは制作されるでしょう。


アクション映画と地位を逆転したいとは思いませんが、精神世界を描いた映画がひとつのジャンルとして確立される必要があると思っています」


「娯楽産業は、人の感情に大きな影響を及ぼしていく独自の力をもっています。


うまくいけば魔法のように、人々の意識を変える手段にもなります。


・・・ところが、多くの映画は、人類は下劣な存在で、人類の基本的本能は人を殺したり、はずかしめたり、操作したりすることだという考えを人々に植えつけているのです。」


脳と行動の発達 4

ひとりひとりの行動の独自性は出生後の環境によって形づくられるのではなくて、胎生期に形成され、さらに胎児の発達は人類としての数百万年の過去から受け継いだ遣産にもとついています。


・・・このように考えると大古から現代にいたる人類の行動発生の一貫性が理解できます。


またその発生過程には一定の規則性が備わっていることもわかります。


子どもは幼いから未熟で未完成な行動をすると言いますが、それは正しい見方ではありません。


たとえば10ヵ月児はときにはおとな以上に巧みに指先を使って小さな球をつまみあげます。


10ヵ月は15ヵ月の準備のときなのではなくて、10ヵ月なりの完成された行動を示す時期なのです。


幼いから未熟なのではなくて、幼いなりにその発達の時期を完全な形で経過しているのです。


・・・このような各々の時期の見事に完成された動作を劇的な形で描き出したものがゲゼルの「発達診断学」に記されています。


子どもの行動発達の姿の原点をたどることは障害の有無を問わずわたしたちの眼を豊かにする助けになります。

脳と行動の発達 3

あまり根拠なしに脳障害というレッテルを貼ってしまうと、その子どもの行動は常に脳障害児としてみられることになります。


その意味では脳障害は脳機能不全という言葉に置きかえたほうが良いことが多いものです。


行動というのは単に動作とか振るまいといった意味ではなくて、ゲゼルの考え方によればすべてのひとの示す外的な現れです。


それで目を動かして注視することも、じっとして耳をすましてものを聞いていることも、また動かないで眠りこんでいることも行動です。


その行動のもとをたどると脳の働き、ことにその電気的な働きとしてのトーヌスであることは有名ですね。


乳児の初期に上向きでねているときにとる特別なポーズである緊張性頸反射もその例です。


・・・このようにみてくると行動の発生は乳児が出生したときからなのではなくて、すでに胎児が母体のなかで育ってくるその過程に見いだされます。


さらに受精卵の分割するときにまでさかのぼることができます。

脳と行動の発達 2

脳の一定部位はその部に特有の働きを分担して持っているので、その部位だけが犯されると、該当する働きに限って欠落することはあります。


側頭脳の障害による失語症の発生などその例です。


しかし脳には他方で連絡統合する能力も備わっています。


すなわち脳の作用の全体性です。


生理学的にみるなら脳の皮質よりももっと奥のところ髄質の部分に当たる連合領域です。


脳の材質の破壊によって脳の一部の作用が欠落するという側面とともに、この全体的な補修力が働いて欠落した能力を補うものであるという事実を考えるなら・・・


脳があんがい自己修復能力も持っていることがわかります。


脳障害という言葉も広く用いられながら、とかく誤解されやすい表現です。


おとなの場合は別として子どもではいろいろの面でこの自己修復能力が働きます。


脳障害では脳組織が損傷される、脳組織の活動性は再生されないから欠陥がそのまま残る・・・


・・・いうように固定的にとらえて脳障害を理解すると、この言葉のイメージは常に後向きで、消極的にとらえられがちです。


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