順調に推移する世界経済 2

88年の経済成長率を地域別にみると、アメリカが3・9%、日本が5.7%、ヨーロッパが3・3%で、先進国全体として約4%程度でした。


途上国も、アジアNIESのように2ケタ台を3年維持したところは例外だとしても、全体的には2・5%程度の成長を記録しました。


しかも、この間インフレーションは、中南米やソ連・中国などの一部社会主義国では激しかったのですが、先進工業国をとってみると、88年後半からやや上昇気配がみられたものの、通年では3・5%と比較的落ちついたものでした。


アメリカとヨーロッパ、それに日本と、それぞれに差はあるものの、おおむね"インフレなき成長"を実現したといえるでしょう。


この間、途上国ではまだかなりの国で慢性的に失業者が多く、ヨーロッパでも失業率が10%程度と比較的高い水準で推移しましたが、アメリカでは5%台前半にまで低下し、日本も2.5%と相変おらず低い失業率でした。


そして、このような成長率を背景として、多くの国で国内的には企業の収益が改善し、対外的にみても、世界貿易は数量ベースで約7%程度拡大しました。


こうしてみると、世界経済は順調に推移しているようにみえ、パリ・サミット(主要先進国首脳会議)でも成果の誇示がなされ、革命300年を祝う2089年のパリ祭に、もうひとつ花を添えそうです。

順調に推移する世界経済

日本の政府開発援助(ODA)は、1986年において56億ドルでアメリカ(96億ドル)についで絶対額では世界第2位です。


しかし、対GNP比率はDAC(開発援助委員会)加盟国平均の0225%に対し0・29%と低く、18力国中15番目という低位です。


また、総合グラント・エレメントはDAC平均の93・2に対して81.7と、これまた低いものになっています。


現実に1国の政治を担当している指導者とその取巻きの人びとは、日常の仕事の処理に追われる多忙さと、自分たちの業績を評価してもらおうと期待するあまりに、往々にして世界が直面している危機に気づかず、あるいはそれと真正面から取り組むことを避ける傾向があります。


他方、在野の人びとはもちろん、何かにつけて自分を売りたがる評論家のなかには、狼少年よろしく、さも自信ありげに危機の到来を声高にいいたてる人がいます。


しかし、この種の問題の重要性からいって、私たちは感情論に走らないで、客観的に議論すべきでしょう。


現実の世界経済には、いくつかの明るさが、たしかに存在します。


世界経済の成長率は1986、87年は、途上国を含めて平均で3%程度でしたが、88年には3・5%程度に達したものとみられます。

日本の防衛力と経済協力について

日本の国際的貢献の1つとして、軍事協力が多くの人によって提起されています。


自国の防衛は自国によるという原則はそのとおりですが、日本の軍事力のいっそうの強化については、以下の事情を考慮する必要があるでしょう。


第1に、日本は第二次大戦の経験を教訓として、「国際間の紛争を武力により解決すること」を放棄し、専守防衛の憲法をもち、またこの精神のもとで「非核3原則」(核をつくらず、持たず、持ち込まず)と「武器の対外輸出禁止措置」をどっていて、これらのことは国民の多数の支持を得ています。


そうした考え方は、今日の世界の政治の流れおよび日本の近隣諸国の国民感情を考えると、今後とも支持すべき基本理念です。


日本の国際社会への貢献は、その経済力の活用など、非軍事面におかれるべきです。


日本が独自に攻撃力や核開発を含めて軍事力を強化したり、旧来のようなナショナリズムによって軍事的行動をとることは想定しがたいでしょう。


しかし、諸外国も経済面での協力を期待すべきだとわたしは思います。

水平分業体制の確立 2

最近ようやく水平分業体制への動きが始まりつつあります。


もとよりECのような水平分業ではなく、日本とアジア地域1般、アジアNIESと非NIES間の分業体制で、しかも産業間の分業体制というよりも、多重層的な「工程間分業体制」の色彩が強いものです。


これらを促進したのは、通貨調整の効果と、日本およびアジアNIESにおける内需拡大・市場開放、そしてこれらの国による地域内直接投資の増大です。


かかる傾向は、この地域の貿易の過度の対米偏重を是正(対米黒字の縮小)し、またこの地域全般の工業化を進めるうえで好ましいでしょう。


今後とも相互間、とくにこの地域のなかでのより先進的な国の自由化促進、通貨調整効果のいっそうの活用が必要であるとわたしは思います。


・・・ただし、この地域を人為的に「アジア地域」として統合的な経済圏を形成しようとすることは、必ずしも好ましくないですね。


国際収支の不均衡が続くなかで、近年みられるバイラテラリズム(2国間主義)、ユニラテラリズム(単独主義)の動き(たとえば1992年統合をめざしてのECの動き、米・加、米・イスラエル間の「自由貿易圏構想」)は、その意図と反してブロック化を通じてグローバルな市場自由化を妨げる要因になりかねない危険性もあります。


いずれの地域も、排他的な「経済圏」を形成してはならないのです。

水平分業体制の確立

次に、累積債務問題解決のために貿易黒字国の途上国からの輸入をふやすこと。


途上国の累積債務問題を解決するためには、基本的には途上国の輸出競争力と成長力を強化することが前提です。


しかし、その間、先進国とくに貿易黒字国からの資本還流計画をつくることも大事ですが、より大事なことは貿易黒字国がより「積極的に輸入」をふやすことです。


アジア地域には、人種的・宗教的・政治的・経済的にそれぞれの特性を持った多様な国家が存在します。


ECとちがって、アジアは1つではありません。


しかし、この地域は全体としてみれば、経済発展は他の地域より順調でした。


これからの発展の可能性も高いのです。


それをいっそう確実にし、その発展と安定を全世界に波及させるためには、この地域の水平分業体制を確立すべきです。


その際、それぞれの地域、とくに日本とアジアNIESならびに政治的影響力の強い中国の役割について、十分に検討する必要があるでしょう。


アジア地域では、長いあいだ、水平分業体制ができませんでした。


事実、先進国との垂直分業が多く、貿易の絶対額も域内よりも対域外のそれが大きかったのです。


それは、第1にこの地域の多くの国は先進国の旧植民地ないし従属的な国家であったからであり、第2に、主要産品が原料・農産物であって、工業基盤が弱かったからです。

構造調整の行動 2

次に、各国の制度を共通のルールに則ったものに整備すること。


構造調整の行動プログラムの効率を高めるには、市場の開放が必要であると同時に、各国の制度・・・


たとえば税制、独占禁止法、労働慣行などを画一的ではありませんが、相互に理解しうる共通のルールに則ったものに整備する必要があるでしょう。


また、為替レートの安定のための各国共通の介入財源を用意することも大切です。


通貨の安定と構造調整は相互促進的なもの。


通貨安定のための各国の協調介入は短期的な効果しか持ちえない、いわば時間稼ぎのようなものです。


それだけに頼っては、通貨安定も構造調整もできません。


しかし、それだからといって介入効果を軽視してはならないでしょう。


そのために、マクロ的にみて安定すべき周辺に為替レートを保つための、そして各国が「責任を負い」、「危険負担を感ずる」共通の介入財源を用意する必要があるのです。

構造調整の行動

問題の鍵は国際協調の可否にかかっています。


当面の各国の情勢をみると、必ずしも楽観的になれるわけではありません。


アメリカでは大統領選挙と議会の選挙を控えて、合理的な経済政策が辛抱強く行なわれるかどうか疑問もあります。


日本ではその保守的な体質のゆえに、需要管理政策や市場開放策がのぞましいスピードで展開されないかもしれません。


欧州の経済政策関係者は、日米よりいっそう自己中心的です。


・・・にもかかわらず、市場からのプレッシャーが加わって、国際協調主義者の声がこれらの障害を排除するものと期待したいですね。


次に構造調整の行動について。


まず、共通目標にむけての各国の経済構造調整を進めることです。


相互依存の高い現代の国際間の不均衡は、当事国間の協調によってのみ有効に解決されます。


赤字国と黒字国の財政政策がしばしば対照的であるのは、そのことの必要性を示しています。


また、均衡状況を安定させるためには、相互補完的な分業体制の確立が必要です。


できれば主要国が、お互いに整合的な「前川リポート」のような構造調整プログラムを持つべきでしょう。


そしてそれに従って、各国が中期的、継続的に構造調整を進める必要があります。

国際経済運営

日本は今、国際経済運営の日米欧協力を余儀なくされています。


おそらくそこには輸入制限がなされていること、流通が近代化されていないこと、政府の国内企業に対する過度の保護、規制、介入など、さまざまな要因が働いています。


しかし、そうした制度や慣行が、いまでは日本の消費者にとっても、日本経済にとっても、障害となってきたのです。


このような生活の質を改善することが、その経済力にふさわしい生活を持っているという感覚を日本人が持つようになる要件であり、国際的責任を自覚させる基礎要件です。


そしてこの点こそが、内需拡大の中心需要となるものです。


この内需拡大が、結果として国際収支の不均衡是正をもたらすことにもなります。


国際協調推進のためにこれまで批判してきたように、そしてそれが市場の警告で示されたように、国際間の不均衡を是正するための国際協調は不十分でした。


各国はそれぞれの国情を理由に、実際的には自国本位の政策をとってきました。


今日の経済状況を1929年当時と比較して、その再来をいうものが多いです。


たしかに、株式の急落の角度やその他若干の経済指標で酷似した点はあります。


しかし、60年前と今日では、経済や社会の制度や仕組みが一変しているので、比較そのものはあまり意味がありません。

日本人の価値観

住宅とか社会資本という点になると、日本の水準は信じがたいほど低いものです。


労働時間は、日本ではしばしば勤勉と同義語に間違って解釈されていますが、きわめて長時間。


製造業雇用の場合、欧米平均より年間約300時間は長いのです。


また、家計費を欧米と比較すると、日本の消費者はいちじるしく絶対水準の高い生計費支出なのです。


最近、アジアのいくつかの国で、日本をどう思うかという世論調査が行なわれた。


日本人にとって残念なことですが、その多くの調査結果は、これらの国の人びとが、必ずしも日本に対して信頼感や好感を持っていないことを示しています。


それには数多くの理由が考えられますが、貿易の巨大な黒字に代表される日本の経済的行動がかなり大きな原因をなしていると思われます。


人間の感情や関心というのは短期間で変わるものではありません。


しかし、国際収支の不均衡を是正することができれば、好転の1つの重要な要因ができることは確実です。


とくにアジアとの友好関係をつくることは、政治的にも経済的にも世界全体の発展と安定に不可欠のことです。

沖縄の久高島

久高島について、『琉球国由来記』に、つぎのような所伝が見えます。


「上古、この島の根人(島の長)にアナゴの子という人がいた。


ある日漁のため伊敷泊に出てみると、沖から白い壷が漂ってきた。


取ろうとすると離れ、手をひくとまた近づいてくるが、どうしても取れない。


急いで家に帰って妻に話すと、これはきっと由のある壺にちがいないから、沐浴潔斎して、また取りにいくといい、と妻がいった。


そこで沐浴して、白衣を着て行くと、こんどはかんたんに取れた。


家にもちかえって開けてみると、中に麦・粟・黍・豆・びんろう・アザカ・シキヨの七色の種子が入っていた。


それらを諸所に蒔くと、麦は春、粟・黍・豆は夏に成熟し、びんろうは高く秀で、アザカ・シキヨは繁茂して森岳となった」。


・・・この森岳にキミマモンの神があらわれて、人びとの信仰する聖岳となり、また白い壺を埋めて石でかこった所は、霊所となったのです。


麦が成熟したとき、それを首里王府に献上すると、国王はたいへんよろこんで、これは人民を養育する穀物だといわれて、以来、2月の麦穂祭に、国王が隔年久高島に行幸されるようになったのです。


この国王の久高島行幸は、しかし薩摩の支配をうけるようになってから、1674(延宝2)年以後、摂政羽地朝秀の建白によって中止されました。


2月は特に海が荒れて危険であり、また大国(薩摩)の人に笑われる、というのが理由でした。


沖縄ツアーに行く前には、琉球の長い歴史を学んでおくとより奥深い旅ができると思います。


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